*女神の本草学*

薬膳おつまみを楽しむ会を主催する実幸の頭の中。薬草、生薬、東洋医学を中心にいろんなことをつらつらと。

モシャッとした、喉に効くあいつ

こんにちは、実幸です!

冬を感じさせる寒さが続いていますが、お体の調子はいかがですか?

今日は寒い季節でも青々としていて、喉を傷めやすいこの季節にぴったりの子に関する記事です。

シュッとした葉が、わさっと生えるのが特徴的な薬草を2つほど紹介いたします。結構そこいらに生えていると思いますので、わしゃわしゃした草があったら、ぜひ見てみてください。

…雑な紹介だと思いました?でも写真見て見たらわかっていただけると思います。本当にそんな感じなんです(笑)

 

 

本日紹介される子たちのお名前

・ジャノヒゲ

ヤブラン

(・オオバジャノヒゲ)

(・リュウキュウヤブラン

(・ヒメヤブラン

 

ジャノヒゲ/麦門冬(ばくもんどう)(ユリ科→キジカクシ科)

 

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学名:Ophiopogon japonicus Ker-Gawler (LiliaceaeAsparagaceae)

北海道から沖縄まで日本であれば山林の陰に大抵生えている植物。多年生(=1年で枯れない)草本(=草。木にはなりません)で、地上近くを茎が這い伸びて広がります。 

 

ジャノヒゲ…蛇のひげ…?

そうです。別名リュウノヒゲ(龍のひげ)とも言われるジャノヒゲはまさに龍に生えてるひげみたいな形をした葉をもつ植物で、それが名前の由来とされています。

…蛇にひげなんかないしって思いました?

私もそう思いまして、調べてみたところ、蛇が神格化されると龍になるという話もあるようで、龍神信仰があるように、蛇神というのも信仰の対象でいずれ龍になるとかならないとか。出雲大社にも蛇神さまが祀られているようです。

というわけで、その葉の形状ですが、細長い線形で、触った質は固く、先は尖っていません。(ラウンド型っていうのかな)

固いがゆえにしなやかなで、つんつんすると跳ねる感じがかわいいのです。

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葉の長さは10~30 cmくらいで、幅は2 mmほど。

江戸時代にはジョウガヒゲという名でも呼ばれていたそうで、このジョウというのは能面の尉(じょう)というひげのある面からきています。

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江戸時代に能がいかに身近だったのかがわかりますね。

ちなみに中国で書帯草といって書斎の机などに飾られる植物もこれのことなんだとか。 

 

この植物の特徴は葉だけでなく、根と種子にも表れています。 

 

膨らんだ根

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麦門冬(ばくもんどう)

根茎(=茎のように節のある根)からはひげ根が多数出て、ところどころが小さく膨れており、これを乾燥させたものを麦門冬という生薬として用います。 

中国最古と言われる薬草書の神農本草経という書物に上品(じょうほん=生命を養う薬草)として記載されています。

咳や痰などに用いられ、味は良品であれば、そのままかじるとねっとりとした噛み応えで、ほんのり優しい甘さを感じます。

ただちょっと特有の香りがいたしますので、お気をつけて。 

 

ちなみに生薬の詳細な効能についてはこちら▼

 関連記事:ただいま準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。

 

化学的な成分や整合性についてはこちら▼

 関連記事:ただいま準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。

 

 

自己主張強めの…

花も終わりの秋に濃青色の果実のようなものが見えてきます。

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とても自己主張の激しい色をしたこれは、実は果実ではなく種子。

果皮が発達せずに破れて裸出してしまっているんです。

この種は非常によく弾むようで、ハズミ玉などと呼ばれ遊びに使われていたようです。

(私はまだ未体験。遊んだことある方がいらっしゃったらどんな感じかぜひ教えてください。) 

 

ちなみに花に関しては…

初夏に葉の間から葉よりも短い花茎を出して上部に偏側性のまばらな総状花序(柄のある小花が長い円錐形に並ぶ、花の並び方、総状花序代表は藤の花など)を付けます。

花は小さく、淡い紫もしくは白色で、苞葉の間から出た短い柄に下向きに1つずつ付きます。

花びらは6枚で、ほぼ長楕円形。雄しべは6で花糸(かし)は短く葯は長いです。

子房は3室、花柱は小さい円柱状で3分した柱頭を持ちます。

ごめんなさい、写真がないので、ヤブランの写真から想像していただけると幸いです(-_-;)

 

ジャノヒゲの仲間

オオバジャノヒゲ:ジャノヒゲに比べて葉が幅広くて厚い。花序の軸が遥かに太く種子も灰黒色に熟すのが相違点。 

 

 

ヤブラン/大葉麦門冬(だいようばくもんどう)、土麦冬(どばくとう)(キジカクシ科)

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学名:Liriope muscari(Asparagaceae

こちらも東北から沖縄まで広い範囲で生息している植物。藪に生えているけど、葉が蘭の葉みたいだよなぁってところから名付けられたんだとか。見た目はジャノヒゲにとてもよく似ていますが、ちょっと違うんです。 

 

とりあえず葉が長い

葉の形は同じですが、長さが30-60 cmと少し長く、上部はぺランと垂れ下がります。

質はやや厚くて光沢のある深緑色で、縦に繊維が走っているのがよく見えます。 

 

果実…ではなく種子もカラーリングが違います

果実ぽいもの(ジャノヒゲと同じく裸出した種子)は青ではなく黒く熟します。

 

根の膨らんだところも一応生薬です

ヤブランの根を乾燥させたものも土麦門という生薬ですが、ジャノヒゲに比べて品質が低いとされています。

 

花は向きと色が異なっている

花は淡い紫というよりはがっつり紫色で、数個ずつ集まって上向きに咲きます。

 

ヤブランの仲間

リュウキュウヤブランヤブランより花が1ヶ月早く咲いて、花序は少しまばら。花は淡い紫から白色で、花弁は長さ4 mm程度で少し大きいのが相違点。

面白いのは、琉球と名前がついているにもかかわらず、実は沖縄でなくても本州中部より西では生えているところ。最初に見つかったのが沖縄というだけのようです。

ヒメヤブラン:どちらかというとジャノヒゲ寄りの子。ジャノヒゲよりも小さく、葉が柔らかい。葉に対して花序は直立して曲がらず、花被は基部が鐘形に開出しているのが相違点。ヒメヤブランのヒメっていうのは小型で優しい姿からつけられたのだそう。

 

ジャノヒゲとヤブランの違いまとめ

草丈

ヤブラン>ジャノヒゲ

花の向き

ジャノヒゲ=下向き

ヤブラン=上向き

種子の色

ジャノヒゲ=濃青色

ヤブラン=黒色

生薬的観点

ジャノヒゲ=麦門冬

ヤブラン=土麦冬

ヤブランの根を乾燥させたものは、ジャノヒゲに比べて品質が低いとされている。

 

ジャノヒゲとヤブランに似ている子まとめ

オオバジャノヒゲ

葉の幅⇒オオバジャノヒゲ>ジャノヒゲ

葉の厚み⇒オオバジャノヒゲ>ジャノヒゲ

花序の軸の太さ⇒オオバジャノヒゲ>ジャノヒゲ

…オオバジャノヒゲ圧勝じゃない?w

種子の色⇒オオバジャノヒゲ=灰黒色 (ジャノヒゲ=濃青色)

 

リュウキュウヤブラン

花期⇒ヤブランより1ヶ月早い。

花序⇒ヤブランより少しまばら。

花の色⇒淡い紫から白色(ヤブランは紫色)

花弁の大きさ⇒リュウキュウヤブランヤブラン

 

ヒメヤブラン

大きさ⇒ヒメヤブラン<ジャノヒゲ

葉の柔らかさ⇒ヒメヤブラン>ジャノヒゲ

花序⇒ジャノヒゲと異なり、直立して曲がらない。

花被⇒ジャノヒゲよりも基部が鐘形に開出している。

 

ということで、本日はジャノヒゲとヤブランについてでした!

あちらこちらに植わっていると思われますので、街を歩かれたときは是非、足元にも目を向けてみてください!

 

 

 

 

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